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日刊 温暖化新聞|エダヒロはこう考える

20080713

洞爺湖サミットに期待したこと~本当の幸せと持続可能性を考えよう

洞爺湖サミットが終わりましたね。みなさんはどのように評価されているでしょうか?

私は、「しっかりした長期目標の合意や具体的な中期目標が打ち出せなかったのは残念だが、一方で、消極的な米国を中印の巻き込みを絡めて国際交渉の場につかせ、2050年に半減という目標をまがりなりにも打ち出せたのは、2009年コペンハーゲンのCOP15に何とかたすきをつないだ形になり、最悪の展開は避けられた」と思っています。まだまだこれから、です。

G8サミットと平行して開催された「市民サミット2008~世界は、きっと、変えられる」の初日(サミット前日)のシンポジウムに登壇したのですが、そのとき「今回のG8に望むこと」についても述べてほしい、とリクエストがありました。

そのリクエストに関して話した内容です。

~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~

「今回のG8に望むこと」というのが、私のお話しする内容のひとつですが、ひとつは、少なくともG8に参加している首脳の間で、物事の切迫感を共有してほしいなと思っています。

北極の氷が、この夏にも消えてしまうかもしれないという発表が、科学者から出ています。そういったときに、未来への責任を本当に私たちはどう考えるのか。政治のリーダーたちはどう考えていくのか。それを、切迫感を共有してほしい。

実際は政治の交渉ですから、たとえば目標についても、いろいろなことについても、ここで決められること、出せること、出せないことはもちろんあると思います。しかしそのベースとなる切迫感だけは、アメリカも含めて共有してほしいなと思っています。

もうひとつは、どうしてもこの問題は――この問題だけではないですが、先進国対途上国という構図になりがちです。確かに歴史的な二酸化炭素の排出量を見ると、これまでの世界が出してきた排出量の4分の3は先進国が出しています。4分の1は途上国です。

ただ、いま現在の排出量を見ると、先進国と途上国の排出量はほぼ同じです。そして今後は、途上国の排出量が大きくなってきます。ですから、先進国が過去の責任をしっかり負う一方、途上国も未来への責任を真剣に考えていく必要があります。そのときに、技術や資金をどうやって先進国から途上国に、本当に削減につながるやり方で移転していくか。これが大きなポイントだと思います。今回のサミットで、そのあたりの議論が、実施的な意味で進むといいなと思っています。

もうひとつ大切なことは、いまバラバラに語られている問題が、実はつながっているひとつの問題だという認識を、今回のサミット参加者が感じてくれればと思います。

「温暖化が問題だ」「それが主要なテーマだ」と言っていたのに、食糧の問題が出てきた。エネルギーも問題だ。貧困も問題だ。何だか問題がいっぱい出てきて、どうしていいやら、という状況ではないかと思います。

しかしきっと皆さんは、もうよく理解されていると思いますが、温暖化も食糧もエネルギーも貧困も、みんなつながっているひとつの問題です。そのどこの観点から見るかで、「エネルギー問題」と言われたり、「食糧問題」と言われたり、「温暖化問題」と言われている。こういったつながった問題として理解することがひとつ、大きなポイントだと思います。

もうひとつ大切なのは、つながった問題という理解をすればわかることですが、温暖化は問題そのものではないということです。温暖化は、より深い問題の症状にすぎません。ですから、魔法の杖で温暖化の問題を消したとしても、同じような問題が必ず出てきます。

根本的な問題は何かと言うと、「有限の地球の上で、無限の成長を続けようとしていること」です。それが地球の限界にぶつかっている。二酸化炭素の吸収量という限界にぶつかっているから温暖化が起きている。持続可能に地球が提供できるエネルギーという限界にぶつかっているから、エネルギーの問題が起きている。

つまり、私たちが本当に考えないといけないのは「成長」です。どこでどのような成長をどれぐらいするのがいいのか。何でも成長すればいいという時代は、もう過去のものだと思っています。

そういった大事なこと--つまり、本当の幸せって何だろう? 私たちは何のために生きているんだろう? 経済は何のためにあるんだろう? 

そういった本当に大事なことを考える。そのために立ち止まったり、思いをはせたり、そのための時間をつくることが、そのためのきっかけを提供することが、おそらくいま、忙しくて“それどころではない”先進国――だからどんどん、もっともっとと成長に走ってしまう--には大事なのではないかなと思います。

~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~

私がサミット参加首脳たちに望んだ「切迫感の共有」「ばらばらの問題ではなく、つながった問題としての理解」は、残念ながら難しかったようです。

でも、私たちは切迫感を共有し、つながった問題として理解し、目の前の問題への対処だけではなく、問題の根本的な根っこをどうしたら変えていけるかを考え続け、試し続け、行動し続けることができます。

デニス・メドウズ氏が言うように、「ブレーキの効きの悪いクルマで急カーブにさしかかっているなら、まずやるべきことは、スピードを落とすことだろう。優れたステアリング技術があるからといって、アクセルを踏み続けることはしないだろう」

なのですが、私たちを幸せにしない「経済成長至上主義」から脱却し、本当に大事なことを大事にする社会にしていくためには、もう少し人々の思考と思いが必要なようです。

 
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