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日刊 温暖化新聞|エダヒロはこう考える
2010年02月09日
日本の条件付き「25%削減」目標について
COP15で採択された「コペンハーゲン合意」では、1月31日までに先進国が削減目標を提出することになっていました。ご存じのように、日本は、これまでの立場通り、「すべての主要国による公平かつ実効性のある国際枠組みの構築及び意欲的な目標の合意を前提」とした上で、2020年に1990年比25%削減目標を提出しています。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/22/1/0126_05.html
「他の主要国もちゃんとやるなら日本も25%減らします」という、条件付きの目標設定です。
同様に、条件付きの目標設定をしているのが、欧州連合(EU)です。EUの目標値は、20~30%削減と表示されますが、「2020年までに域内の温室効果ガス排出量を少なくとも1990年比20%削減する」そして「他の主要排出国が応分の削減努力をするなら、目標値を30%に引き上げる」というものです。
一見同じ「条件付き目標設定」に見えますが、大きな違いがあります。
日本の場合は「他の主要国がどうなるかがわからないうちは、目標が定まらない」のですね。「すべての主要国」「公平かつ実効性のある国際枠組み」「意欲的な目標」のそれぞれをみなが納得するようにどう定義するのだろう? このすべてをクリアするって、可能なのだろうか・・・?
そして、それがクリアされるまで、日本の目標が定まらないとしたら、それまで日本は対策をしっかり進めることができないのではないか。
それに対して、EUの目標設定は二段構えになっています。「だれがどうであっても、EUは20%減らします」そして「みんながやるなら30%やります」ということです。なので、他の主要排出国がどう出るかが決まらなくても、その出方が不十分でも、「少なくとも20%削減」に向けて、着々と対策を打っていくことになります。
この違いはとても大きいと思うのです。ジャンケンの後出しごっこみたいな国際交渉や他国の国内政治の動向を待つのではなくて、「だれがどうであっても、日本は(たとえば)15%は減らします」そして「みんながやるなら25%やります」という二段構えにしておかなくちゃ、動きたくても動けません。
いずれは大きく減らすことになる長期目標をにらんでの中期目標(二段構えの片方でよい)を一刻も早く設定して、少なくとも国内にはその目標を高々と掲げて、産業界も市民も「やるべきこと」を考え、進めていく必要があります。
鳩山政権に変わって、「25%削減」という画期的な目標を設定し、それを変えずに来ていることはとても高く評価していますが、一方で、「みんながやるならね」という条件(これ自体は、国際交渉上、また国際競争力等の点から必要だと思っていますが)がついてから、実際の削減へ向けた政策や施策があまり出ていないような気がして、気になっています。
国際交渉のため、国際的な公平性のため、必要な条件はつけたらよいのですが、条件のつけ方によって、自分たちが進んでいく上での足かせをつけてしまってはいけない・・・と思うのです。