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日刊 温暖化新聞|温暖化FAQ
温暖化のサイエンス
最大の温室効果ガスは水蒸気だと聞きましたが、本当でしょうか?
ええ、そのとおりです。現在の大気の温室効果のうち、約6割が水蒸気によるもので、約3割が二酸化炭素によるものです。
それでも、私たちは水蒸気ではなく、二酸化炭素(CO2)を減らすべく努力をしなくてはならない理由には、大きく2つあります。
1つは、水蒸気は、人間活動によって大きく増えるものではなく、私たち人間の力で調整ができるものではない、ということです。IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の報告によると、灌漑などの人間活動による水蒸気の増加は、観測されている水蒸気量の増加の1%にも満たないそうです。
もうひとつの理由は、CO2が増えると水蒸気も増えてしまい、二重三重に温暖化が進んでしまうからです。
CO2の増加によって、地球の気温が上がります。気温が上昇すると、海などから水が蒸発し、大気中の水蒸気の量が増えます(過去20年の人工衛星による観測データでも、「気温上昇とともに、水蒸気の量が増加している」ことがわかるそうです)。大気中の水蒸気の量が増えれば、それだけ温暖化が進んでしまいます。すると、気温があがるので、ますます水が蒸発し、水蒸気の量が増えてしまいます。このつながり(ここでは悪循環)を「水蒸気フィードバック」と呼びます。
水蒸気の量は、私たちの力ではほとんど変えられない一方、CO2の排出量は私たちの力で変えることができます。したがって、「CO2は、水蒸気より影響が少ないから放っておいてよい」というのではなく、私たちに変えられるCO2を減らし、それによって、できるだけ水蒸気フィードバックを加速しないようにしなくてはいけないのです。