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日刊 温暖化新聞|温暖化FAQ
温暖化のサイエンス
世界で森林破壊が進んでいる一方で、植物によるCO2吸収量は増えているとも聞きました。いったいどちらが本当なのですか。
世界の森林面積が全体として減少しているのは本当です。現在の森林面積は、陸地の約30%にあたる40億ヘクタール程度。2000年から2005年の間に、年間およそ730万ヘクタールの速さで減少したと推定されています。これは、北海道よりやや狭いくらいの面積に相当します。
森林面積が減少すると、樹木の葉・枝・幹・根などに蓄えられていた炭素が、燃焼や分解により大気へ放出されます。それまでCO2を吸収していた森林が失われるのですから、森林によるCO2吸収量も減少すると思う人も多いでしょう。ところが必ずしもそうとは限りません。
植物の葉は、光合成によってCO2を吸収する一方で、葉・枝・幹・根は呼吸することでCO2を放出します。森林は、CO2をたくさん吸収すると同時にたくさん放出しているため、それを差し引いた正味のCO2吸収量を正確に求めるのは大変難しいことです。気象条件などによっても増減がありますから、森林面積が減ったからといって、CO2吸収量が減るとは単純に言えないのです。
また、同じ種類の植物で比べると、50~100年前より今のほうが、多くのCO2を吸収しているという研究報告もありますが、まだはっきりとした答が得られているわけではありません。
森林のCO2吸収量の変化を調べるため、植物生態学・林学・気象学といったさまざまな分野で今も研究が進められています。将来は、世界中の植物によるCO2吸収量の総量を、さらに正確に求められるようになるでしょう。
□詳しくはこちら
→独立行政法人国立環境研究所地球環境研究センター「ココが知りたい温暖化」
http://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/24/24-1/qa_24-1-j.html