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日刊 温暖化新聞|温暖化FAQ
温暖化のサイエンス
国や地球全体で森林のCO2吸収量がどれくらいあるのか、どうやって知ることができるのですか。
目で見渡せる1キロ四方程度の森林なら、CO2の吸収量を直接測定することができます。森林の中に建てた塔で、空気の流れとCO2濃度を精密に測定することで吸収量を測る、「微気象学的方法」と呼ばれる手法が開発されています。現在、世界 400地点以上で観測が行われていて、多くの森林で、1ヘクタール当たり年間1トン程度の炭素が吸収されることが分かっています。
また、森林のバイオマスや土壌有機物の量を測れば、もっと広範囲の吸収量が分かります。「積上げ法」または「インベントリ法」と呼ばれる手法で、植物や土壌の中に貯留された炭素量の変化から、ある期間の炭素の吸収量を求めるものです。もちろん、国中の木や土壌を全て測定することはできませんが、林業や農業に関する統計データを使えば、市町村や国ごとの炭素吸収量を概算することができます。実際、京都議定書における森林吸収源の算出でも、このような手法が利用されています。
こうした手法を組み合わせて測ると、森林や草原、農地など、世界の陸上の生態系は、炭素量にして年間18億トンほどのCO2を吸収していることが分かります。これは、森林破壊と土地利用変化に伴う放出分にほぼ匹敵する量で、人間活動による温室効果ガスの収支を考える上で重要なデータとなっています。
□詳しくはこちら
→独立行政法人国立環境研究所地球環境研究センター「ココが知りたい温暖化」
http://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/7/7-2/qa_7-2-j.html