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日刊 温暖化新聞|温暖化FAQ

温暖化の悪影響を避けるには、気温上昇を2℃以内に抑えるべきだと聞きます。北海道のように、2℃くらいの上昇であればかえって過ごしやすくなる地域もあると思うのですが。

気温上昇抑制の長期目標は、許容しがたい影響を回避するという観点から、さまざまな科学的知見の蓄積を元に検討されます。ただし、その目標達成には努力(コスト)が必要ですから、過度に厳しい目標では実現性に欠け、長期的な目標として機能しなくなります。こうした点も勘案し、世界の主要国で「2℃を超えないようにすべきとの広範な科学的見解を認識する」と合意されています。

ここで注意すべき点が2つあります。1つめは、「いつと比べた気温上昇か」という点です。現在合意されている目標は、産業革命前と比べた場合です。これまで既に0.7℃の気温上昇が生じていますから、現在と比べれば1.3℃以内に抑えなければならないことになります。

もう1つは、この合意が「全球平均の気温上昇」であるという点です。例えば全球平均気温上昇が2℃だとしても、地域的には1℃のところもあれば3℃のところもあります。一般的に、海洋より陸地で、低緯度より高緯度で、より大きな気温上昇が起きると予想されています。全球平均の気温上昇が2℃の場合、日本における全国平均の気温上昇は2.2℃と予想されますが、北欧では3℃を超すと見込まれます。

現在以上に気温が上昇した場合、例えば高緯度地域では、農作物の栽培適地拡大や成長期間の増加、冬季の暖房エネルギー需要の減少など、好影響が生じる地域や分野も考えられます。

一方で、全球平均気温上昇を2℃以下に抑えられたとしても、全ての分野・地域で悪影響を回避できるわけではありません。これまでの0.7℃程度の上昇でも、脆弱な分野・地域ではその影響が顕在化しています。特に低緯度地域の途上国では、さらに気温が上昇すれば、農作物収量にいっそうの悪影響が生じると予想されています。

温暖化影響の予測には不確実性もありますが、科学が進歩して不確実性が十分小さくなるまで待っているわけにはいきません。現時点で、影響が最も深刻に現れてしまう最悪のケースを想定して目標を定め、科学的知見の更新にあわせて目標や対策も随時更新していく、といった柔軟な考え方が必要でしょう。


□詳しくはこちら
→独立行政法人国立環境研究所地球環境研究センター「ココが知りたい温暖化」
http://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/4/4-2/qa_4-2-j.html

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