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日刊 温暖化新聞|温暖化FAQ

今の調子でCO2排出が続くと、大気のCO2が溶け込んで海水が酸性化し、海の環境に大きな影響を与えかねないというのは本当ですか。

川・湖・海のような天然水には、大気に見合った濃度のCO2が溶けていますが、CO2は水に溶けると酸としての性質を示します。海水では、少し過剰な「アルカリ」を「酸」であるCO2が中和して、現在はpH8.1程度の状態にあります。pHは酸性度の指標で、純粋な水のpHである7を「中性」と定め、pH7以下が「酸性」、pH7以上が「アルカリ性」となります。

CO2を含まない水では、酸とアルカリのバランスがわずかに崩れるだけで大きなpH変化が起きますが、CO2を含んだ水では、酸を中和する炭酸水素イオンや炭酸イオンの働きがあるため、pHが中性付近で安定しています。

酸性雨のような人為起源の酸性物質の流入に対し、海にはかなりの程度までpHを維持する仕組みがあります。しかし、温暖化によるCO2濃度変化は、それよりはるかに大きく、海のpHを簡単に変えてしまいます。海洋は化石燃料起源のCO2の約半分を吸収し、大気中の濃度増加を緩和していますから、その分だけ海水にガスとして溶けているCO2濃度が増加し、既に海洋は酸性化しつつあります。

では、海洋が酸性化すると何が問題になるのでしょうか?

海水に含まれるカルシウムイオンは、炭酸イオンと一緒に、水に溶けにくい固体である炭酸カルシウムを生成します。海には、貝や、プランクトン、甲殻類、イカ、サンゴなど、炭酸カルシウムの殻や骨格を持つ生物が数多くいますが、CO2濃度が増え過ぎると、炭酸イオンが中和されて炭酸カルシウムが生成されにくくなります。現存する生きものは、進化の過程でそれほど低いpHの環境を経験していませんから、簡単に適応することはできないでしょう。

大気のCO2濃度が上がれば、表層海洋のCO2濃度も上昇し、時間をかけて海洋深層のCO2濃度も増加していきます。海洋からCO2を取り除くことは困難なため、いったん海洋生物と生態系へ影響が出てしまうと、回復する方法はないのです。


□詳しくはこちら
→独立行政法人国立環境研究所地球環境研究センター「ココが知りたい温暖化」
http://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/6/6-1/qa_6-1-j.html

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