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日刊 温暖化新聞|温暖化FAQ
温暖化への取り組み
石油はやがて枯渇してしまうと聞きますが、CO2排出の主な原因がなくなれば、温暖化問題は自然に解決されるのではないでしょうか。
枯渇するまで石油を使い続けると、それだけで地球温暖化は深刻なまでに進行すると考えられます。
現在の確認可採埋蔵量(経済的に採掘が可能とされている埋蔵量)は1630億トン(石油換算)とされていますが、世界では1年間に40億トンの石油を使っているので、このままのペースでいくと約40年でなくなってしまいます。中国やインド、ブラジル、ロシアといった経済発展の著しい国では、石油の消費量が拡大していますから、もっと早いペースで枯渇することも考えられます。
もし、この1630億トンの原油をすべて燃やしてしまったらどうなるでしょうか? 原油1億トンを燃やすと、0.84億炭素トンの CO2を排出するため、全部で1360億炭素トンの CO2が排出されます。現状では、大気に排出される CO2のうち約4割は海洋や陸域生態系に吸収され、残りが大気中に残留すると見積もられていますので、約820億炭素トンの CO2が大気に残ります。これは、大気中のCO2濃度を38ppm上昇させると計算されますから、2005年の世界平均 CO2濃度379ppmは417ppmにまで上昇してしまいます。
温暖化による深刻な影響を生じる危険なレベルの目安は、1990年比で2~3度の上昇とされていますが、2度に対応する CO2濃度は400~440ppmです。つまり、石油を枯渇するまで使ってしまうと、温暖化は解決するどころか、もっと深刻な事態を引き起こしてしまうことが分かります。
しかも、エネルギー消費量のうち石油の占める割合(石油依存度)は、世界で37%(日本で48%)でしかなく、石油以外の化石エネルギー資源である石炭や天然ガスからも CO2は排出されています。
石油が枯渇するかもしれないことに温暖化問題の解決を期待するのではなく、むしろ温暖化と資源の問題について、もっと真剣に議論をするきっかけにする必要があるのではないでしょうか。
□詳しくはこちら
→独立行政法人国立環境研究所地球環境研究センター「ココが知りたい温暖化」
http://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/21/21-2/qa_21-2-j.html