本文の先頭です。
日刊 温暖化新聞|温暖化FAQ
温暖化のサイエンス
気温が上昇した結果、海からCO2が放出され、大気中濃度が上昇して温暖化問題を加速していると聞きましたが、本当でしょうか。
人為起源のCO2発生量はある程度正確に分かっており、1751~2004年までの合計量は3150億炭素トンとされています。また森林伐採などから放出された分は、2004年までに1560億炭素トン程度と推定され、人間活動による放出量は合計4710億炭素トン程度になります。
この量は大気中のCO2濃度を219ppm増加させるはずですが、実際の増加は2150億炭素トン分の100ppm程度にとどまっており、その差の119ppmに相当する2560億炭素トンのCO2は、海洋や森林などに吸収されたと考えられます。
ここ250年間で気温や海水温は0.7℃程度上昇していますが、このために海洋からCO2が放出され大気濃度が上昇したとしても、その増加は10ppm程度と計算されます。ここからも、100ppmという増加量を説明できません。
さらにもう一つ良い証拠として「炭素同位体」の観測があります。CO2の炭素原子は、質量数13という少し「重い」炭素と、質量数12という「軽い」炭素で構成されています。海水には相対的に「重い」炭素を含むCO2が多く含まれ、植物や化石燃料などは「軽い」炭素が多いという特徴があります。
これまでの観測によると、どの緯度帯においても「軽い」炭素が増加してきていることが知られています。これは、海洋からCO2ではなく、化石燃料の燃焼や森林の破壊などによるCO2が蓄積していることを示しています。
つまり、産業革命以降、約4710億炭素トンという莫大な量のCO2が人為的に排出されてきた一方で、海洋はCO2を放出したのではなく、正味で吸収したと考えられます。
□詳しくはこちら
→独立行政法人国立環境研究所地球環境研究センター「ココが知りたい温暖化」
http://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/22/22-1/qa_22-1-j.html