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日刊 温暖化新聞|温暖化FAQ
温暖化のサイエンス
フロンガスによるオゾン層破壊のために、太陽光が地上を強く照らすようになって温暖化を加速することはないのでしょうか。
太陽からはさまざまな種類の光(電磁波)が放射され地球にやってきますが、そのうち波長300ナノメートル(1ナノメートル=10億分の1メートル)以下の紫外線は、通常オゾン層で吸収されて地表には到達しません。ところがオゾン層破壊が進むと、これが地表まで到達するようになります。その結果、地上に届く太陽光はどの程度増えるでしょうか。
オゾン層破壊によって、仮にオゾン量が現在の約半分になったとしましょう。その場合でも、残り半分のオゾンによってかなりの紫外線が吸収され、地表に到達する紫外線の増加はごくわずかで、そのエネルギー量は太陽からのエネルギー全体に対して0.2%程度です。
また、現在も含めて今後予想されるオゾン層破壊は、地球全体の平均で最大5%程度と言われ、オゾン層破壊によって増加する太陽エネルギーは、全太陽エネルギーに対して0.02%程度と見積もられます。つまり大きな影響はないと言えるでしょう。
オゾン層には、紫外線を防ぐ働きのほかにも、地表に向かって赤外線を放射し、温室効果をもたらす働きもあります。従って赤外線の影響に限って言えば、オゾン層破壊によってオゾン量が少なくなれば、温室効果の影響が小さくなり、地表の気温を下げる方向に働きます。また、オゾン層破壊によって成層圏の気温が低下し、放射される赤外線が弱まって地表の気温を下げる効果もあります。しかし、こういったオゾン層の赤外線に対する温室効果もCO2に比べると小さいので、あまり問題にはなりません。
□詳しくはこちら
→独立行政法人国立環境研究所地球環境研究センター「ココが知りたい温暖化」
http://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/9/9-2/qa_9-2-j.html