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日刊 温暖化新聞|温暖化FAQ
温暖化への取り組み
温暖化対策には、具体的にはどのような費用が必要になりますか。また、その費用は誰が負担するのですか。
温暖化対策を大きく分類すると、「温室効果ガスの排出削減対策」と「温暖化影響に対する適応対策」があります。
削減対策の例としては、高効率設備の開発や導入(産業部門)、燃料の転換(発電部門)、エンジンの燃費改善(運輸部門)、省エネ機器の導入(民生部門)、さらにIT化による製造・輸送システムの効率化、炭素税の導入など、技術的、システム的、制度的な対策があります。その費用は、「対策そのものにかかる直接費用」か「対策を取らないケースと比較し、対策を取ったケースとの間で生じる費用の差」のいずれかで表現されます。
では、こうした費用は、誰がどのように負担しているのでしょうか? 例えば、自動車メーカーが低燃費自動車を開発する場合、直接的には企業がその費用を負担します。ただし、費用の一部が製品価格に反映されることで、私たち最終消費者も削減対策費用の一部を間接的に負担することになります。これを「価格転嫁」といいます。
一方、製品価格に転嫁せずに開発費用を企業が負担すると、企業の収益低下によって、最終消費者でもある経営者や株主、労働者の所得に影響します。したがって、この場合でも、最終消費者の負担になることに違いはありません。
温暖化影響に対する適応対策については、気候変動問題の経済影響に関する報告書「スターンレビュー」(2006年発表)などで重要な指摘がなされています。温室効果ガスの排出削減対策を取らない場合、将来的には温暖化の被害や適応の費用が大きくなるため、世界経済が被る損失が大きくなるというのです。
よりよい環境を次世代に残すためにも、排出削減対策を早急に取る必要があります。それには相応の費用がかかりますが、一方で新たなビジネスチャンスとなる可能性もあります。重要なことは、一部の人々や業界だけが費用を負担するのではなく、環境負荷をきちんと価格に反映することによって、環境負荷をもたらす(例えばCO2を出すなど)大きさに応じて、負担するしくみにすることです。
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□詳しくはこちら
→独立行政法人国立環境研究所地球環境研究センター「ココが知りたい温暖化」
http://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/16/16-2/qa_16-2-j.html
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