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日刊 温暖化新聞|温暖化FAQ
温暖化のサイエンス
温暖化の予測に使われるシミュレーションモデルは、つくり方次第でいくらでも過去のデータに合うようにできるし、どんな予測結果でも出せるのではないのですか。
シミュレーションモデルは、時間の経過による風速、海水温、土壌水分などの変化を計算する方程式を、コンピュータプログラムで表したものです。この方程式は基本的な物理法則に基づいていますが、それだけでは表現しきれない部分も含まれます。
方程式を計算機で扱うためには、大気、海洋、陸面を分割して、小さな「箱」の集合体として考える必要があります。水平方向でおよそ100km四方、垂直方向には10m~1kmくらいの平たい箱を想像してください。温暖化シミュレーションを行う場合、それぞれの箱の中の平均的な温度や風速などの値を物理法則から計算します。
正しい計算のためには、箱に含まれる小さな雲や乱流の影響を方程式に取り入れる必要があります。そこで、観測データや理論的な考察に基づいて、そうした現象を推定する数式が構築されています。これが「パラメータ化」と呼ばれるものです。
パラメータ化に問題があるとモデルの信頼性が揺らぐため、その妥当性については繰り返しチェックされ、必要に応じて更新されています。ですから、研究者が自分の望む結果を得るために、パラメータ化を恣意的につくり変えようとしても、科学的に合理性がないことがいずれ明らかになります。
一方で、パラメータ化で構築した数式は、一般的な物理法則とは違い、不確実性を含むことも事実です。ある観測データを元に構築した数式は、別のデータを元にした数式とは異なることもあり得るからです。ただし、いくらでも過去のデータに合わせられるわけではありません。
モデルをつくる際には、(1)物理法則に反してはいけない、(2)観測事実に反してはいけない、(3)地球全体で同じ式を使わなければいけない、という3つの基準を満たす必要があります。そのため、モデルで過去のデータを再現できるようになるには長い年月がかかりました。気候を現実的に再現できるモデルが現れたのは、1990年代の終わりごろです。さらに、20世紀中の全球平均気温の上昇カーブを大まかに再現できるようになったのは、ここ数年のことです。もしもモデルに細工をし、過去のデータに自由に合わられるのであれば、これほどの時間はかからなかったはずです。
同様に、将来予測についてもどんな結果でも出せるわけではありません。全球平均気温について見てみると、世界には現在、各国の研究機関で開発したモデルが20ほどあります。それぞれがパラメータ化に工夫を凝らすため、モデルは少しずつ違った特徴を示しますが、向こう100年間の全球平均気温の変化を計算させると、どのモデルでもおよそプラス2~5℃と、同程度の温度上昇を示します。
このように、モデルのつくり方次第でシミュレーションの結果に差が出るのは事実ですが、その影響は限定的で、どんな結果でも出せるほど自由度が大きいものではありません。
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□詳しくはこちら
→独立行政法人国立環境研究所地球環境研究センター「ココが知りたい温暖化」
http://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/25/25-1/qa_25-1-j.html
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