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日刊 温暖化新聞|温暖化FAQ
温暖化への取り組み
2050年までに世界の温室効果ガス排出量を50%削減するという目標があるそうですが、京都議定書の6%削減などの数字に比べ、そのような大幅な削減が議論されるようになったのはなぜですか。
京都議定書では、先進国全体の温室効果ガスの総排出量を、2008~12年の期間中に少なくとも5%削減(1990年比)することを目指して、日本には6%削減が課せられましたが、これは2010~20年程度の短期的な目標に過ぎません。
現在、主な温室効果ガスであるCO2排出量の半分弱は海洋や森林などによって吸収されるものの、半分強が大気中に蓄積され、CO2濃度の上昇が続いています。しかし、途上国では経済成長を伴う排出量増加が見込まれることもあり、世界全体では今後も排出量がますます増加するでしょう。長期的な気候安定化の視点から考えると、排出量の大幅な削減が不可欠であり、京都議定書の目標達成だけでは十分ではありません。
このことは京都議定書以前から専門家の間では認識されていましたが、世界的に温暖化の危機についての認識が高まってきたことから、国際政治の場でも大幅削減の必要性が議論されるようになりました。2008年の北海道洞爺湖サミットで、「2050年までの温室効果ガス半減」が掲げられ、翌2009年のラクイラサミット(イタリア)では、先進国全体として、50年までに80%以上削減する必要があるという認識も共有されました。
CO2排出量が世界第5位(2008年)の日本は、先進国の中でも大きな削減努力が求められています。政府は、2050年までに80%削減は可能だという姿勢を示し、2020年までに25%削減という方針も掲げられています。ただし、こうした目標は原子力に依存した従来型のエネルギー政策に基づいていますから、今後その手法については見直しをしていく必要があるでしょう。
いずれにしても、温暖化影響という長期にわたる地球規模の問題については、世界共通の具体的な短期および中長期目標を設定したうえで、世界全体そして各国による削減枠組みを構築することが必要です。
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□参考
→独立行政法人国立環境研究所地球環境研究センター「ココが知りたい温暖化」
http://www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/13/13-2/qa_13-2-j.html
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