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日刊 温暖化新聞|エダヒロはこう考える
2008年01月15日
DSR指標とは〜温暖化のニュースの読み方
温暖化に関するさまざまな情報が、それこそ洪水のように入ってくるようになりましたが、断片的で出来事レベルの情報であることが多く、混乱してしまうこともあるかもしれません。さまざまな情報に溺れることなく、その本質をつかむためには、情報を位置づける「枠組み」があるとラクです。「D−S−R」というひとつの「見方」を紹介しましょう。
環境問題に限らず、何であっても世の中や世界は、ある「原動力」に動かされた結果の「状態」があり、その状態を正すための「対応」がとられる、というシンプルな図式で見ることができます。
たとえば、この数ヶ月、次から次へと仕事の量が増えてしまっている(原動力)ので、残業時間が増え、睡眠や気分転換の時間が減ったため、健康を害し、いつもいらいらしている(状態)。これではつづかないと、上司に相談してみる(対応)、というぐあいです。
この場合の「対応」は、「原動力」に働きかけようというものですが、同じ「状態」でも、コーヒーに手を伸ばす、飲酒量を増やす、などの「対応」もありえます。これは、「原動力」ではなく、「状態」を変えようとするだけの、いわゆる対症療法ですね。
ある会社では、消費者の環境意識が高まってきたため(原動力)、エコではない従来の主力製品の売れ行きが落ちてきた(状態)。そこで、エコ商品の開発部隊を立ち上げることにした(対応)、というぐあいに、組織レベルでも同様に考えることができます。
環境問題を考えるときにも、同じように見ることができます。つまり、いま見ている情報は、「原動力」に関するものなのか、「状態」なのか、「対応」なのか、と考えてみるのです。
「ホッキョクグマの数が減っている」「昨年も史上最高気温だった」などの情報は、「状態」ですよね。政府の法規制、企業の取り組みなどは、その多くが「対応」に分類されるでしょう(それは根本療法になりうるのか、単なる対症療法なのか?も考えてみるとよいでしょう)。「原動力」に当たるのは、人口や経済成長、二酸化炭素や有害廃棄物の排出量などの情報でしょうか。
ちなみに、この「原動力」「状態」「対応」という3つの窓で見る方法は、国際的な環境指標の開発でも用いられています。
D指標:Driving force 環境の状態を変化させる環境負荷
S指標:State 環境の状態
R指標:Response 環境の状態を修復するための対応策
この「3つの窓」を意識して、日々の情報を当てはめてみると、D→S→R→D(またはS)→…… という「つながり」が見えてくるのではないかと思います。
いま目にしている情報が、「Dなのか、Sなのか、Rなのか」——つまり、「原動力」「状態」「対応」のうち、どの局面を扱っている情報なのか?をぜひ意識しながら、読んでみてください。自分なりの理解の枠組みができてくることと思います。
(2008年1月15日)