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日刊 温暖化新聞|エダヒロはこう考える
2008年10月22日
首相「地球温暖化問題に関する懇談会」第6回での発言
10月20日に開催された首相「地球温暖化問題に関する懇談会」第6回での自分の発言です。
※プレゼン資料は、このページ下のリンクからダウンロードしてご覧頂けます。
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私は、全国の人々に伝える活動をしていますので、主に国民に近い立場から、この懇談会のメンバーとして参加させていただいています。
3-1という資料をつくらせていただいたので、これに沿って、2分ほどでお話をさせていただければと思っております。
まず、全国のいろいろな方々と話をして、本当に国民の関心が高いことを感じています。特に、私利私欲というよりも、次の世代をどうするか、子どもたちをどうするかという熱い思いを持った皆さんが、この政権がどのようにリードし、拓いていってくれるかと、強い期待で待っていると思います。
そもそもという話になってしまいますが、温暖化を止めるために何が必要かということを考えると、地球が吸収できる量以下に人間の排出量を減らす必要があります。こちらはIPCCの数字ですが、この数字から見ると、60%、70%という削減が必要になります。
この物理的な限界に従った形で、各国、日本を含め、目標設定をして、これから実際に進めていくところですが、次のページのグラフが示しますように、実際には世界のCO2の排出量は減るどころか増えております。
これはいくつかのヨーロッパの国と日本を比べたものですが、たとえばドイツ、スウェーデン等は、一人当たりにしても総量にしても減っておりますが、日本は残念ながら、まだそのどちらも増えています。じゃあ、それはなぜなのか。
先ほど総理もおっしゃいましたが、日本には資金も技術もある。そして国民の高い意識もある。しかし残念ながら、それを実効性につなげていく仕組みがまだ、ほかの国に比べて弱いのではないかと思っております。
その強力な仕組みとして、「炭素に価格をつける」ことです。特に産業界向けには排出量取引という仕組みになってくるわけで、今回これが試行的な実施をされるということを、とてもうれしく、心強く思っています。
実際にその試行的な実施ですが、その効果は、「仕組みがどれぐらい本当に減らす力があるか」、それから「参加者がどれぐらいいるか」の掛け合わせです。今回、参加者がたくさんいて始められるというのは、本当に素晴らしい。あとはその実効性をいかに高めていくか、そこに注力することができると思っています。
実際には、排出量取引の仕組みは、「上限を決めて、それを全体で守るために分担を決めて取引する」という仕組みです。現在、産業界の自主行動計画の目標は90年度比±0%です。今回はこれに合わせて進められると理解しておりますが、実際には2013年以降の、さらに大きな削減に向かって、この排出量取引の仕組みをどのようにつくっていくかが大事だと思っています。最初から完ぺきなものは、もちろん誰でもできないわけで、レビューをしながら、実際に必要なことをやっていく必要があると思っています。
それから中期目標についてですが、検討会は非常に大事な試みだと思います。バックキャスティングとして大きく「これが必要だ」ということと、それから「実際にどうやって進んでいくんだ」ということの擦り合わせを、この検討会でしていただけると思っていますが、これはその結果として、「こんなに大変だからできない」という証拠を集めるためではなく、実際にすでに日本が約束をした長期目標に向けて、どういったオプションがあるのか、そのときの負担を国民に示して、国民と一緒にやっていく。巻き込んでいく。そこが大事なところだと思っております。
政府が決めて「こうしましょう」と言うだけでは、なかなか国民も動きませんので、この懇談会、そして検討会の動きそのものに国民をいかに巻き込んでいくか、どのように伝えていくか。これを、サブチームなどをつくって、研究しながら進められたらいいのではないかと思っています。
世界が低炭素化へ向かっております。先ほどの総理のお話にもありましたが、お金はそちらへ向かって動いていくわけで、そのとき日本がそこにいるのかどうか。日本には、省エネ技術はあります。再生可能技術もあります。それを実際にどうやって世界の中でお金に換えていくのか。
そのときに、先ほどお話しくださったように、コストというよりもビジネスチャンスとして考えていく必要がある。自然エネルギーへの投資がどんどん増えている。そしてドイツなどでは、自動車産業に代わるものとしてこれを位置づけておりますし、社会にとってさまざまなプラスがあると位置づけています。日本でも大きな仕組みをつくって進んでいくことができると、大きく期待しております。
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