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日刊 温暖化新聞|エダヒロはこう考える
2009年09月26日
鳩山政権になって~私がいちばん期待していること
■鳩山政権になって~企業にとっての今後10年の命題
国連の気候変動首脳会合で、鳩山首相が日本の温暖化ガス削減中期目標について「2020年までに1990年比で言えば25%削減する」と高らかに表明したこと、世界中から大きな喜びと期待で受けとめられていますね!
今月前半に、ハンガリー~スイスへ出張していたときも、「日本では政権が変わって、温暖化対策や中期目標はどう変わるのか? これまでなかった国際的なリーダーシップをとるだろうか?」といろいろな人に聞かれました。
「ジャパン・バッシング」の時代から、「ジャパン・パッシング」へ、そして、「ジャパン・ナッシング」になりつつあると言われる世界の中での日本のポジションですが、今回の民主党政権の中期目標に対するスタンスに「やっぱり日本だね!」との声をあちこちで聞きます。
国内では産業界の反対の声がまだ大きいですが、いつまでも「現状どおり」が続くわけがないことはだれもがわかっているはず。「現状維持のコスト」がどんどん大きくなっていく中、どうせ大きく変わらなくちゃいけないのですから、早めに「いつまでにどうしなくてはならないか」がわかって、それぞれ対策を練って進めていくほうがよいはずです。
自民党時代、経済界の方々から「政府が突然規制や目標設定をするから困る。企業は中長期の計画を立てて進んでいくのだから、早めにいつまでにどうなるかがわかったほうが対応しやすいのに」とよく聞きました。そういう意味でいうと、鳩山政権は大きな方向性とその距離感を明確に示しているわけで、「企業にとっては対応しやすい」のではないでしょうか?
日経新聞(9月4日付)で、国際公共政策研究センター理事長の田中直毅氏がインタビューに応えて、「新しい産業パラダイムが求められている。民主の削減目標について、産業界は今後10年の命題が定まったと考えてほしい」と語っておられますが、本当にそのとおり!と思います。
私たち市民は、その命題を受け入れて苦労しながらも進んでいこうとする企業と、往生際悪くいつまでも命題やその背景にある現状から目をそむけて「現状維持」にしがみつく企業を、しっかりと区別していきましょう。そして、買い物や投資など、お金の流れを前者に移行していきましょう。どちらが勝ち組か、明らかですから!
■私がいちばん期待していること
春にピースボートに乗船したとき、途中から乗り込まれたナチュラル・ステップの高見さんといろいろな話をしました。高見さんはスウェーデンのいろいろなことを教えてくれたのですが、中でも「いいなあ! 日本もそうだったらなあ!」と思ったひと言がありました。
「スウェーデンの大臣たちは、みんなでランチを食べているんだって」。
別に規則でも何でもなく、それぞれの立場で仕事をしているわけですが、お昼になるとみんなでおしゃべりしながらごはんを食べているんだって、と。
ひとつの国のいろいろな機能を分担してその国の繁栄と発展のために努力している大臣たちが、お昼ご飯を食べながら、いろいろな話をしたり、課題について相談したり、調整したりする、というのは、考えてみれば、ごくごくふつうのことなのでしょうけど、「いいなあ!」と心から思ったのは、(当時の)日本では考えられない!と思ったからです。
日本の経産大臣と環境大臣、外務大臣、国交大臣、財務大臣などがいっしょにご飯を食べながら「日本をどうしていくか」をそれぞれの役割分担を確認しながら話したり相談したりするなんて、とても考えられない、と。
首相の懇談会に出ていても、それ以外の場面でも、経産大臣は経産省と経済界の代表であり、国交大臣は国交省とその管轄下の産業界の代表以外の何者でもないんだなあ、と感じることがよくありました。大臣同士が雑談しながらランチを食べている図なんて想像できないほど、それぞれにばらばらで、お互いの間で敵意を隠すことはなく、憎しみさえ感じられることがありました。
新しい政権に変わって、変えられるんじゃないかな、と強く期待しています。それぞれの省庁や省益・産業界の代表としての大臣ではなく、日本のためにそれぞれ役割分担して働いている大臣たち。大臣同士雑談しながらいっしょにお昼ご飯を食べ、お昼の休憩時間が終わったら、またそれぞれの省庁に戻って仕事を続ける大臣たち。
いまはそれに近い感じなんじゃないかな、と。省庁や省益、その省が管轄する産業界に取り込まれることなく、日本という国全体の目標や方向性に向かって、みんなでそれぞれの役割を果たしながらのチームプレーをぜひ!と願っています。