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日刊 温暖化新聞|エダヒロはこう考える

20091229

「日本の成長戦略」のヒヤリングでの発言録

2009年12月19日付の環境メールニュースで、

> 鳩山総理を議長する成長戦略策定会議のもとに作られた、菅副総理をヘッ
> ドとする成長戦略策定検討チームがおこなっている有識者のヒヤリングに呼ばれ
> ました。(初日に竹中平蔵氏と菅さんが大激論をおこなったという・・・)

と書きましたが、そのときの資料が官邸のウェブサイトにアップされました。

検討チーム有識者ヒアリング
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokkasenryaku/seichou/yuushiki/

私の資料はこちらにあります。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokkasenryaku/seichou/yuushiki/dai2/2_edahiro.pdf

各省の副大臣・政務官のほか、議員さんなど10人ほどが円卓を囲み、その後ろにスタッフの方々や、記者さんが座っておられました。最初に15分弱、この資料を使って話させてもらいました。その内容をお伝えします。

~~~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

枝廣
こんにちは、枝廣でございます。今日は、このような機会をいただいて、とても光栄に思っております。国民に近い立場、それらか環境分野に携わっている立場ということで、今回お声がけいただいたと思っております。

お手元に資料を配っていただいておりますが、まず、なぜこれまでの成長戦略がうまくいかなかったか。つまり、成長戦略に必要なものが十分になかったと思っているわけですが、ここに書きました3つがとても大事な点だと思っています。

1つは、「長期的に日本をどういう国にしていきたいのか」という、ビジョンです。「来年からこうするよ」と言われても、企業も一般の人たちも対応できません。「5年後、10年後、30年後、日本はこういう国になるよと。そのためにきちんと準備していきなさいね」と。そういった適応できる時間を与えた上でのビジョンが大事であると思っています。

もう1つは、「継続性と予測性のある仕組み」です。これは、これまでの政権だとよくぶれていたと思います。最初につくった制度と、次に出てきたものが逆行していることもあります。

今も実際、そのような問題が起こっている分野がいくつかありますが、その1つは固定価格買取制度です。11月から太陽光発電の余剰電力分について、この制度が始まっているわけですが、これが今、小型の風力発電にとって非常にマイナスになっている、ということが問題視されています。

太陽光発電ですと48円で買ってもらえるわけですが、太陽光発電以外の、風力などの発電については、今、買取価格は10円ぐらいになってしまうという問題です。ですから、小型風力と太陽光発電を付けているお家も、小型風力を付けなかったほうがずっと売電で得られるお金が多いというように、逆行するような動きになっており、自然エネルギーを一生懸命やってきた市民の間にも不信感が高まっています。

特に、小型風力というのは、今、世界的なブームになっていて、アメリカだけでも1年間に1万機以上が付けられているわけですが、日本にもゼファーという非常に強力な小型風力の会社がありますが、そこも、日本の中で逆風が吹いてしまって非常に苦労しているそうです。

このようにぶれるのではなくて、継続性があって、どういうふうにしていけば自分たちがプラスになるかということが予測できるような仕組みが、2つ目に大事だと思っている点です。

もう1つは、「国民の意識、理解」ということで、なぜ私たちが今、こういうことをやらないといけないのか、ということをきちんと理解してもらうこと。それは、今、盛んになってきていますが、さまざまなコスト負担論に関してもそうです。

何でも「欲しいよ」だけではなくて、「欲しがるんだったらこういう負担があります」「それを社会全体でどう負担しますか」といった議論をきちんとしていかないと、成長戦略のために必要なさまざまな動きを、国民が支持することは難しいだろうと思っています。

2ページ目にあるのは、前の温暖化懇談会で、福井元日銀総裁がおっしゃっていたことですが、長期的な日本のビジョンを描くときに、大前提として、これまで大きく変わってきていることを伝えてくれています。それは、環境という面で、特に資源、エネルギー、二酸化炭素の制約が極めて厳しくなる世界だということです。4ページ目もそのことを表しています。

この「制約が厳しくなる」ということを理解した上で、その制約の間をきちんと通り抜けていけるようなビジョンをつくらないと、必ず制約の壁にぶつかってしまうと思います。

資源はどんどん減るし、化石燃料を中心にエネルギーも採れなくなってくる。そして、排出できる二酸化炭素も制約が厳しくなってくる。日本の人口も減ってくる。その一方で、さまざまな、世界からの圧力もかかってくる。こういった流れを見極めた上で、そのどこを通すかというビジョンをつくることが大事だと思っています。

4ページ目に書いてあるのは、「成長戦略」と一言で言ったときに、恐らくこれまでは、いわゆる成長産業のことを指し、それをどうやって創出するかということを考えてこられたように思いますが、成長産業も成長しない産業も、日本の産業を支えるための戦略を同時に考えていく必要がある、ということです。

つまり、ここが基盤です。基盤が傾いてしまうと成長どころではなくなります。そういった意味では、日本の一番大事なポイントはエネルギーであると思っております。

次のページ、電源と一次エネルギーのグラフですが、赤い部分は化石燃料に頼っている部分です。日本の場合は極めて大きく化石燃料に頼っており、これがすべて輸入になっているわけです。

では、その化石燃料がこれからどうなるのかが、次のピークオイルというところですが、化石燃料に対する需要そのものは、新興国等の動きもありますので、これからも増えていく。けれども、産出量そのものは2012年から14年ぐらいでピークに達して、それから減っていくのではないかというのが、世界的な研究者の共通認識になりつつあります。

国際エネルギー機関(IEA)は、これまで割と甘い見通しを出していましたが、そこでもこの夏に、このままだと、自分たちの予測以上に速くピークに達するという発表をしています。

日本は、先ほどのグラフからも明らかなように、化石燃料に頼っているわけですが、次のページが、日本の化石エネルギーの輸入額を数字で示しています。10年前には5兆円程度だったのが、昨年は23兆円に増えています。消費量はそれほど大きく増えているわけではないのですが、価格が大きく上がってきているのです。ピークオイルが来て、ますます価格が上がってきたときに、この23兆どころではない、30兆、40兆となっていく可能性があります。

今は、自動車や鉄鋼、電気・電子が輸出して得た収益を、ほとんど化石エネルギーの輸入に使ってしまっている、と言われています。景気が後退すると、製品の輸出は減ってしまうけれども、エネルギー自体は必需品なので、なかなか減らない。赤字がどんどん増えるという構造になってしまっていると思っています。

そうしたときに、エネルギー自給率が4%しかなく、食糧の自給率も言うまでもなく低いわけですが、人口が減っていき、地域が非常に過疎化し、疲弊している、そういった日本は、世界的にはエネルギーやCO2の制約が厳しくなってくる中で、どういう日本にしていくのかということが、成長戦略の一番の基盤になってくると思います。

「バックキャスティング」というのは、現状からスタートするのではなくて、あるべき日本の20年、30年後の姿から考えようということです。たとえばスウェーデンでは、2005年に「2020年までに石油を使わない国になる」というビジョンを出して、そのためにどうするかを考え、進めています。

恐らく日本も、成長戦略といったときに、これぐらい大きな、「30年後にどういう日本にしたいんだ」ということを打ち出して、そこに行くための道筋として、こういう産業をこのような形で成長させる、このようなシフトをしていく、というロードマップを引いていく必要があると思っています。

ちなみに、次の「日刊温暖化新聞」のアンケートというのは、私が主宰している温暖化に関して情報提供しているウェブサイトでアンケートした結果です。意識の高い方々が多いので、一般的なアンケートとは少し異なった感じになっていますが、意識の高い人たちは少なくとも、「25%削減という目標は、単に温暖化対策だけじゃなくて、これからの、石油も減っていくし、そういった時代の中で日本をどういう社会にしていくかと。そのよいきっかけにすべきだ」考えている人たちが95%ぐらいいます。

単に海外から排出権を買ってきて、削減目標の帳尻を合わせるだけでは、日本はますます貧しくなってしまいますので、エネルギーの大きな転換を、この成長戦略の中核に据えるべきだと思っています。

そのときのコストを、電力業界等はもちろん嫌がるわけですが、それもやはり社会全体で負担すべきです。きちんと説明すれば、わかる人がたくさんいますので、そのあたりの成長戦略の説明の仕方も含めて、やっていく必要があると思っています。

特に取り組むべき成長戦略ですが、私たちの暮らしで言うと、食べ物とかモノとか、自分たちが移動したり、モノを送ったりしていますし、そういったことすべてにエネルギーを使っています。

ですから、日本の場合で言うと、まず農業。これは言うまでもなく、食糧、安全保障のためでもありますし、CO2の土壌の吸収力というのは非常に大きいのです。今、COP15では森林の吸収力については議論が進んでいますが、その次には土壌の吸収力も計測して、各国のインベントリーに入ってくると思われていますので、このあたり、温暖化対策としても農業が重要になってくると思っています。それから林業もそうです。

もう1つは、今、さまざまに出てきている環境産業を効率的に加速化するということも、重要なポイントかと思います。たとえば今、都内では、山手線のどこで降りてもカーシェアリングが使えますし、あちこちのマンションやコンビニを拠点として、カーシェアリングを展開している所が増えています。

ところが使い手側からすると、自分が会員になったところしか使えない。ほかの所で使おうと思うと、また会員にならないといけない。これだとなかなか広がらないので、もう少し共通した仕組みを提供することで、一度会員になれば、どこに行ってもカーシェアリングが使えるような、シームレスな形での展開ができるよう、もしくは公共交通とか自転車シェアリングとか、こういったものと結びつけていくような、そういったガイダンスなり手助けというのも大事ではないかと思っています。今のままだと、カーシェアリング事業者が林立して、共倒れしてしまう恐れがあるのではないかと思っています。

もう1つは、新しい時代に合ったインフラ整備です。ここでは2つだけ例を挙げていますが、1つは自転車専用道です。自転車の人気が高まって、CO2を出さない乗り物として乗る人が増えていますが、今の日本の道路は自動車専用道に近いので、自転車が非常に走りにくく、怖いです。自動車専用道のようなものをつくっていくことが大事です。

もうひとつ、モノの移動に関して、これは私も委員になっていたので、図をお見せしていますが、貨物だけの新幹線をつくろうという構想があります。これは第二東名の3車線のうち、現在2車線しか工事していませんので、残っている所を有効活用しようというものです。

日本の物流のうち、鉄道を使っているのは、ほんの1%しかないという統計があります。モノが移動しないと経済は動きませんので、それをできるだけCO2の少ない、そしてガソリンに頼らない形にしていくという、こういったインフラは非常に重要ではないかと思っています。

この「Worse before Better」というのは、何か本当にやろうと思うと、最初は深くかがむ必要がある、という場合があります。たとえば今の物流新幹線にしても、建設費2兆円と試算が出ていますが、「2兆円高いからやめよう」と言ってしまうと、それから逆にどういうコストがかかるか。やらない場合のコストを考
えると、20ページに書いてあるように、年間2,000億円~3,000億円かかってくる。数年で2兆円は軽く超えてしまうわけです。

なので、大きな像を示して、そこに行くために、最初は投資が大きいけれど、それはやらなかったら逆にこういうコストがかかってしまうよということを示していけるのではないかと思っています。

それから、言うまでもなく自然エネルギーです。今日発売になったと思いますが、アル・ゴアさんの『不都合な真実』の次の『私たちの選択』という本を翻訳しました。この中でもその自然エネルギーの技術と開発が非常にたくさん取り上げられていて、日本の企業も出てきます。特に電池の分野で、日本ガイシの電池は非常に優秀で、向こう4年分はもう、フランスとアラブの諸国に買われてしまっているらしいですが、こういったところを、もっともっと日本の強みとして広げていくことができると思います。

最後に、個別の技術は、日本は進んでいるのですが、それをシステムとして提供するという力が非常に弱い。水もそうですし、エネルギーもそうだと思っています。このあたりをきちんとテコ入れしていくことが重要です。

もう1つ、資料には書いていないのですが、地域がぞれぞれの強みを活かして、自立的な成長をしていくようなモデルに変えていく必要があると思っています。つまり、どこか1つの産業に頼って、日本全体を引っ張ってもらうのではないモデルです。たとえば、自動車がガソリン車からEVに替われば、部品点数も減りますから、今のようなすそ野の効果は期待できなくなります。

そうしたときに、ある産業に全部を任せるのではなくて、それぞれの地域がそれぞれの強みを活かして、自立的に成長していけるような、そういった枠組みなり戦略の道しるべを、国が立てられるのではないかと思っています。

以上です。

~~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 
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