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日刊 温暖化新聞|エダヒロはこう考える

20090527

温室効果ガス排出量は減らせる!~どの国が減らしている?その要因は?

■実際に温室効果ガスが減っている先進国はあるの?

中期目標の議論は「マイナス7%を軸に展開」という報道記事が届きました。本当なのかな? どういう根拠で「マイナス7%」なのでしょうね? 

世界全体の温室効果ガスはどんどん増え続けています。先進国は「2050年に60~80%」という規模の目標を掲げているところがいくつもありますが、実際にすでに対策の効果が出て、減り始めているところはあるのでしょうか? 減っているとしたら、どのような対策が効果を発揮しているのでしょうか?

と、専門家にお聞きしたところ、「国立環境研究所 温室効果ガスインベントリオフィス」が情報と分析をまとめてくださいました。よいニュースです! 意志を持ってやるべきことをやれば実際に減らせることがわかります! 

許可を得て、お伝えします。
グラフはこちらでごらんいただけます。

~~~~~~~~~~~ここから引用~~~~~~~~~~~~

温室効果ガス排出量が減少した附属書I国とその要因

2009年4月
国立環境研究所 温室効果ガスインベントリオフィス

・附属書I国に含まれる多くの市場経済移行国では排出量が減少し、2006年現在では第一約束期間の目標を達成している。

・経済移行国を除く先進国24カ国中(京都議定書を批准していない米国、トルコを除く)2006年時点で京都議定書の目標を達成している国は英国、フランス、スウェーデン、モナコ、ギリシャ、オーストラリアの6カ国である(うちオーストラリアとギリシャは1990年より排出量増加が認められている)。

また、ドイツとベルギーは目標達成レベルまであと一歩となっており、その他の国で排出量が減少している国はオランダである。なお、欧州共同体も排出量は減少となっている。

・京都議定書基準年より先進国で最も排出量が減少している国はドイツ(-18.5%)であり、英国(-15.9%)、モナコ(-13.9%)、スウェーデン(-8.9%)が続いている。

図1. 附属書I国各国の京都議定書達成状況(直近年は2006年)
こちらよりご覧いただけます)


以下、国連気候変動枠組条約で提出されている共通報告様式(CRF)より確認できる事項を記述する。

・ドイツでは燃料の燃焼によるCO2排出量(固体燃料等)が大幅に減少したこと(1990年比[以下省略]-15.7%)により排出量が減少。なお、気体燃料による排出量は増加。

・英国では廃棄物埋立によるCH4排出量の減少、燃料の燃焼によるCO2排出量(固体燃料等)が減少したこと(-5.1%)等により排出量が減少。なお、気体燃料による排出量は増加。

・フランスは燃料の燃焼によるCO2排出量は増加した(+5.0%)ものの、他の分野の排出量の減少(工業プロセスN2O、農用地土壌N2O等の減少)により排出量が減少。

・スウェーデンは燃料の燃焼CO2排出量の減少(-9.1%)等(液体燃料等)により排出量が減少。

・ベルギーはPFCsの排出量減少(1995年比-93.5%)、SF6の排出量減少(1995年比-96.6%)、廃棄物埋立によるCH4排出量の減少等により排出量が減少。

・モナコは燃料の燃焼CO2排出量の減少により排出量が減少。

・なお、排出量が増加している日本、米国、カナダ、イタリアはいずれも燃料の燃焼によるCO2排出量の増加により、総排出量が増加しており、いずれもエネルギー転換部門(発電所等)及び運輸部門で排出量が増加。

以下、各国提出の温室効果ガスインベントリ報告書(NIR)より抜粋・作成。

・英国はエネルギー分野における排出量の減少要因として、燃料転換とGDPあたりのエネルギー集約度の減少を挙げている。(2008年提出英国NIR p.70参照)

・ドイツはエネルギー分野CO2排出量の1990年から1995年までの減少要因として、低排出燃料への転換(固体燃料、液体燃料から気体燃料への転換)と旧式施設(炉)の廃止を挙げている。1990年から2006年までの減少要因として、再生エネルギーの利用増加、石炭からガスおよび石油への燃料転換を挙げている。(2008年提出ドイツNIR p.95-96参照)

・スウェーデンは運輸部門を除くエネルギー分野における排出量の減少要因として、主に家庭およびサービス部門において暖房利用の石油利用が減少し、主としてバイオマス燃料をベースとした地域暖房に代わったことを挙げている。(2008年提出スウェーデンNIR p.46参照)


《各国の排出量増減の関連情報》

◆ロシア、東欧などの市場経済移行国の排出量の減少は、一般的に1990年代初頭の経済崩壊と経済体制の移行によるものと言われている。
参考文献: 1;「京都議定書の評価と意味」、p.94(マイケル・グラフ、クリスティアン・フローレイク、ダンカン・ブラック 共著、松尾直樹 監訳、省エネルギーセンター、2000年発行)

2;「地球温暖化交渉の行方」、p.274(高村ゆかり、亀山康子編集、大学図書、2005年発行)

◆環境省より公表されている審議会(平成13年10月19日開催中環審地球環境部会国内制度小委員会)の資料において、ドイツ及び英国における温室効果ガス排出削減要因についてまとめられている(1990年から2000年について)。

ドイツにおける温室効果ガス排出量の削減は、政策効果による部分は53.0%、統合効果(ドイツにおいては旧東ドイツが効率の悪い設備を使用していたことや経済が低迷状況にあることが指摘されている)による部分は47.0%であるとされている。

また、英国における温室効果ガス排出量の削減は、政策効果による部分は53.4%、自由化効果(英国においてはエネルギー市場の自由化及びエネルギー企業の民営化が行われた結果石炭から天然ガスへの燃料転換が起こったことが指摘されている)による部分は46.6%であるとされている。

審議会資料は、以下からダウンロードできる。
http://www.env.go.jp/council/06earth/y061-09/ref04.pdf

◆スウェーデンの温室効果ガス排出削減について、NEDOのレポートにおいてはエネルギー供給に占める原油の割合の減少を指摘している。
NEDO海外レポート NO.1042, 2009.04.08
http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/1042/1042-11.pdf

◆「地球温暖化問題の再検証」(澤昭裕、関総一郎編著、東洋経済新報社、2004年発行)では「EUのエネルギー需給からみた温室効果ガス増減の背景」が記述されており(第3章2 EU(工藤拓毅))、ドイツにおいてエネルギー起源二酸化炭素排出量が大幅に減少した背景(1990年から2000年)として、「東西ドイツの統合により、旧東ドイツの地区における効率の悪いエネルギー供給インフラや需要サイドの設備等が急速に改善されたことによる省エネルギー効果が大きい」としている。

また、イギリスにおける温室効果ガスの排出量削減は、「1990年代に入っても継続していたエネルギー消費効率の進展や原子力発電による発電電力量の増加に加え、北海におけるガス生産量の拡大と国内の電力市場の自由化と石炭産業に対する保護措置を縮小(民営化)したことでのガス化の進行による効果が大きいと考えられる」と記述している。

その他参考文献

1.ドイツのエネルギー需給と温室効果ガス排出削減、技術開発への取り組み 田中信世 季刊国際貿易と投資P39-65 No.56 2006
http://www.iti.or.jp/kikan65/65tanakan.pdf

2.IEEJ 温暖化ニュース 日本エネルギー経済研究所 Vol.1 2003
http://eneken.ieej.or.jp/data/pdf/757.pdf

3.欧州の温室効果ガス排出動向と我が国の取り組み 加納達也 価値総研 P12-15 Vol.5 2004
http://www.vmi.co.jp/pdf/bv/bv05/bv05_04.pdf

~~~~~~~~~~~~引用ここまで~~~~~~~~~~~

「国立環境研究所 温室効果ガスインベントリオフィス」の方々、大事な情報をどうもありがとうございました。 

ぜひ政治家にも伝えていきましょう! (みなさん、上記の情報をぜひ政治家や、他の人々にも転送するなどして、ぜひ伝えて下さい~)

ドイツの削減を「東西ドイツの統一のせいさ」と片づける声を聞くことがありますが、その影響以上に、やはり政策効果が大きいのですね。

すでに減らしている国のようすをみると、「燃料転換」について「しっかりした政策」を進めていることがわかります。これだけはっきりしているわけですから、

> ・なお、排出量が増加している日本、米国、カナダ、イタリアはいずれも燃料の
> 燃焼によるCO2排出量の増加により、総排出量が増加しており、いずれもエネル
> ギー転換部門(発電所等)及び運輸部門で排出量が増加。

という日本は、国民大運動も大事だけど、それ以上に、いかに燃料転換を進めていくかを考え、そのためのしっかりした政策を作っていくことですよね。

国民大運動も「自分でこまめに省エネ」だけではなく、「国や業界に燃料転換を求める」国民大運動にシフトしていかなくては!

 
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