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日刊 温暖化新聞|温暖化ニュース
2008年10月02日
報告書:局地的な大気汚染物質、将来の気候変動に大きく影響
(米国海洋大気庁より)
米国海洋大気庁(NOAA)は9月4日、「局地的に発生し、短寿命な大気汚染ガス・粒子は、これまで考えられてきたよりも地球規模で気候に大きな影響を及ぼす」と結論付けた研究報告書「Climate Projections Based on Emissions Scenarios for Long-Lived and Short-Lived Radiatively Active Gases and Aerosols(仮訳:長寿命・短寿命の放射活性ガスおよびエアロゾルの排出シナリオに基づく気候予測)」を発表した。この報告書は、米国の気候変動科学プログラム(CCSP)が中心にまとめた一連の統合評価報告書(SAP: Synthesis and Assessment Products)の一つである。
スス、低高度のオゾン、硝酸塩、硫酸塩など、大気圏に数日から数週間しか存在しない大気汚染物質は、太陽光反射による冷却効果や熱吸収による温暖効果など、地表温度への影響効果を持つ。これまでの研究では、これらのうち太陽光を反射する短寿命粒子の増加で、寿命の長い温室効果ガスの増加による地表気候の温暖化は一部相殺できると考えられてきた。
しかし今回の報告書によると、人間活動で排出される短寿命の大気汚染ガスの中でも、温暖効果のあるススや低高度のオゾンが増加する一方で冷却効果のある硫酸塩が減少すると予測されることから、地球温暖化が強まる可能性がある。また短寿命の大気汚染物質は、発生は局地的でも地球規模の影響力を持つという。同報告書が言及している気候モデルで、アジアにおける大気汚染物質の排出量と濃度が、21世紀後半の米国大陸における夏季の気温上昇と降雨量減少に関連すると予測されているからだ。
ただし、これらの予測は大気汚染物質の排出が削減されれば変わるため、主執筆者のアリス・ギリランド博士は、「大気質管理が将来の気候に与える影響の評価について地域規模・地球規模で検討できるよう既存の意思決定手段を拡大すると同時に、大気質と気候変動緩和の両方について統合的に意思決定していく必要がある」と語っている。
DSR指標= DSR指標とは?
http://daily-ondanka.es-inc.jp/news/2008/20081002_1.html
報告書:局地的な大気汚染物質、将来の気候変動に大きく影響