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日刊 温暖化新聞|温暖化BASIC
何度までなら上がってもだいじょうぶ?
かつて科学者たちは、「温暖化は本当に起こっているのか、起こっていないのか」という議論をしていましたが、残念ながら、「温暖化はすでに起こっている」ことは、世界のほぼすべての科学者が認めています。いま、科学者たちは、「地球の温度は何度まで上がっても大丈夫だろうか」という議論をしています。
「地球の温度がどのくらい上がれば、さまざまなリスクがどのくらい大きくなるか」という研究をまとめたグラフを見てください。「飢餓が増える」「マラリアが増える」「水不足が広がる」といったリスクは、2℃ぐらいの気温上昇で、急激に大きくなる、という結果です。ですから、「2℃以上上げてはならない」というのが、世界中の科学者の中で有力な見方となっています。
2℃というのは、どこから数えて2℃なのでしょう? これは、「産業革命が始まる前に比べて」ということです。先述したように、産業革命が始まってから、人間は石炭や石油・天然ガスを堀り出すようになりました。温暖化の原因である、大量の化石燃料の採掘と燃焼が始まった産業革命の前と比べて「2℃」の上昇がぎりぎりだ、ということです。
いま、何度ぐらい上昇している?
世界には、温暖化の研究をしている研究者がたくさんいます。国連の中に、世界中の3000人を超える温暖化の研究者が協力して、温暖化の現状について、5年か6年に一度ずつ、報告を出しているIPCC(気候変動に関する政府間パネル)というグループがあります。
このIPCCの最新の報告書が、2007年2月に出されました。この最新報告によると、この100年で、地球の温度は0.74℃すでに上がっています。2℃の上昇が大きなリスクを回避するためのぎりぎりの線だとすると、すでに0.74℃上がっているわけですから、これから約1.3℃上昇しないうちに、大きな方向転換をする必要があるのです。