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日刊 温暖化新聞|温暖化BASIC

よくわかる温暖化:温暖化の「時間」

もうひとつ、温暖化を考える上で重要なポイントが「時間的な遅れ」です。たとえば今日、世界中が「温暖化を止めよう」「二酸化炭素を出すのをやめましょう」と決めて、本当に全員がそれを守ったとしても、昨日まで私たちが出した二酸化炭素は、すぐには大気から消えません。二酸化炭素の寿命は、数十年から最長200年といわれていますから、それだけの時間、大気中に残ることになります。今日出すのを止めたとしても、昨日まで出したものが、数十年から最長200年残ってしまう——これが、二酸化炭素の寿命による「時間的な遅れ」です。

また、海の熱容量が大きいことによる温暖化の「時間的な遅れ」も存在しています。もしも二酸化炭素の増加が今すぐに止まっても、海面温度はしばらくゆっくりと上がり続けます。

私たちの社会の中にも遅れがあります。たとえば、あるきっかけで、ある企業の社員が「うちの会社でもしっかり取り組まなくてはならない」と真剣に考えたとします。その人が上司と話をし、経営層に話をつなげて、「我が社としてやりましょう」という会社としての意思決定ができるまで、どうでしょうか、どんなにフットワークの軽い組織体だったとしても、数週間から数カ月、場合によっては数年かかるでしょう。

「よし、やりましょう」とトップが決めたとして、次の中期計画や投資計画に盛り込み、実際にそのためのお金が動くまでも、また数カ月から数年かかるでしょう。さらに、実際にお金が動いてから、ソーラーパネルであれ風力発電であれ、省エネ設備であれ、実際の設備が設置され、実際に大気中の二酸化炭素の量に影響を与えるまで、ここにもやはりリードタイムがありますから、数カ月から数年かかることでしょう。

つまり、「やらなきゃ」「やるぞ」と決めてから、実際に二酸化炭素の量に変化が表れるまで、数カ月から数年、場合によっては数十年かかってしまうのです。これは、だれが悪いわけではなく、私たちの社会の構造が「少しずつリードタイムを重ねて、いろいろな物事を動かす」しくみになっているからです。

加速度的に悪化する可能性があり、かつ、決めてから効果が現れるまで時間的な遅れがある状況——たとえてみると、どんどんと急になっているかもしれない下り坂を、踏んでから本当にブレーキがかかるまで5分ぐらいかかるようなブレーキの効きの大変悪い自動車に乗っているような状況なのです。

もし、こういう状況で運転しているとしたら、どういうふうに運転するでしょうか? おそらく注意深く、そろそろゆっくりと、様子を見ながら運転するのではないでしょうか。では、私たちの世界や経済は果たしてそうしているでしょうか? 「もっと速く、もっとたくさん」と、ブレーキではなく、アクセルを踏んでいるのではないでしょうか。

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