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日刊 温暖化新聞|温暖化REPORT
発行: | 千葉大学公共研究センター、環境エネルギー政策研究所 |
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発行日: | 2007年7月 |
ページ数: | 8ページ |
入手先: | http://sustainable-zone.org/ |
- 千葉大学公共研究センターと環境エネルギー政策研究所が、日本国内における電力による再生可能な自然エネルギー供給の実態を自治体ごとに試算し、「その区域の民生用電力需要を、その区域での再生可能な自然エネルギーによる発電のみでまかなえる100%エネルギー永続地帯」を調査したレポート。
- 環境エネルギー政策研究所:特定非営利活動法人として、持続可能なエネルギー政策の実現を目的とする、政府や産業界から独立した第三者機関。
概要
今回の試算では、日本国内における電力による再生可能な自然エネルギー供給の実態を地域ごとに把握した。
小水力発電が日本の再生可能な自然エネルギー電力の59.8%を占めることがわかった。以下、地熱(18.1%)、風力(12.4%)、太陽光(6.0%)、バイオマス(3.7%)の順。このような再生可能な自然エネルギー起源の電力供給は、日本の民生用電力需要量の3.35%にとどまっている。
また、大分県(30.8%:地熱+小水力)、秋田県(26.3%:地熱+小水力+風力)、富山県(23.4%:小水力)、岩手県(20.2%:地熱+小水力+風力)の4 県では、再生可能な自然エネルギーによって民生用電力需要の2 割以上を供給していることがわかった。(図1)
市区町村別では、76の市区町村が再生可能な自然エネルギーのみで域内の民生用電力需要を満たしていることがわかった。これらの市区町村は「その区域の民生用電力需要を、その区域での再生可能な自然エネルギーによる発電のみで、計算上、賄うことができる区域」であり、「100%エネルギー永続地帯」と認められる。(表1に自給率のトップ10を掲載した)
このうち小水力により「100%エネルギー永続地帯」となる市区町村は54ともっとも多く、以下、風力13、地熱8、バイオマス2 となっている。
このように、将来にわたって生活の基盤となるエネルギーと食糧をその区域で得ることができる区域を示す「永続地帯」指標を出すことで、長期的な持続可能性が確保された区域が見えるようにする役割を担うとともに、人口が密集する都会よりも、自然が豊かで人口の少ない区域の方が、「永続地帯」に近い存在となることから、「先進性」に関する認識を変える可能性を持つ。また、脱・化石燃料時代への道筋を明らかにする役割も果たすだろう。
試算結果から政策的には、(1) 日本に適した自然エネルギーの種別として、小水力発電にもっと注目すべき、(2) 地方自治体におけるエネルギー政策を立ち上げるべき、(3) 国はエネルギー特別会計の一部を地方自治体の自然エネルギー普及に振り向けるべき、(4) エネルギー需要密度が大きい都市自治体においては、自然エネルギー証書の購入などの形で、自然エネルギーの普及拡大に寄与すべき、(5) 自然エネルギー発電の基礎データが統計情報として定期的に公表されるようにすべき、という5点が指摘されている。