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日刊 温暖化新聞|温暖化REPORT

海外レポートサマリー:中国のクリーン革命:ザ・クライメート・グループ(2008年8月8日) China’s Clean Revolution:The Climate Group(August 8, 2008)

著者: Steve Howard, Changhua Wu
発行: ザ・クライメート・グループ(The Climate Group)http://www.theclimategroup.org/
発行日: 2008年8月8日
ページ数: 32ページ
入手先: PDFダウンロード
  • 「温暖化対策では遅れている」とみられがちな中国だが、本レポートは、温暖化でもたらす機会とリスクに敏感な中国の政府や企業が、様々な政策や事業を実施して低炭素社会への移行を順調に進めているということを、様々な統計資料を用いて解説している。
  • ザ・クライメート・グループ(The Climate Group):2004年に設立された、気候変動対策に特化した初の国際NGO。本部は英国で、中国、米国、オーストラリアに支部を持つ。

概要

本レポートは、エグゼクティブ・サマリー、第1章「低炭素電力」、第2章「省エネ商品・工場・ビル」、第3章「低炭素輸送」、第4章「低炭素事業への投資」、結論の6部構成。本編の各章には、冒頭で注目すべきデータ(Highlights)、課題(Challenges)、機会(Opportunities)を明示し、本文ではそれらに基づいた傾向を分析、囲み記事では低炭素社会への移行に貢献している革新的な企業などの事例を取り上げている。

エグゼクティブ・サマリーでは、本編で取り上げている様々な統計を基に、「再生可能エネルギー投資・設備容量が急速に拡大」「様々な低炭素技術を使った装置・機器の生産で世界トップ級」「低炭素輸送では世界のリーダー」「エネルギー原単位(単位国内総生産あたりのエネルギー消費量)削減努力で成果を挙げている」「強力かつ包括的な低炭素政策の枠組みは整備済み」「低炭素の波に乗る起業家」といったヘッドラインで本編を総括している。さらに、「途上国はそのコスト優位性や省エネ機会の多さなどから、富裕国と同等あるいはそれ以上に、低炭素化への投資で雇用創出や社会的恩恵を得られることが本報告書でわかる」と指摘している。

各章の主な内容は以下の通り。

第1章「低炭素電力」

  • 「電力源の再生可能エネルギー比率を2030年までに現行の8%から15%へ拡大する」など、強力な再生可能エネルギー目標を設定している。
  • 2007年度の太陽光発電システムの生産量は日本に次ぎ2位と世界屈指である(表1参照)。
  • 現在世界5位である風力発電量を拡大させており、「2020年までに100ギガワットも可能」と予測されている。
  • 現在の142ギガワットの水力発電量を2020年までに倍増を目指している(表2参照)。
  • 2006年の石炭使用量は240億トンと世界全体の4割にも上っていたが、非効率な火力発電所を閉鎖し、2005年以降の新規火力発電所にはクリーン石炭発電技術を標準装備しており、火力発電所の熱交換効率30%以上改善を達成している。

第2章「省エネ商品・工場・ビル」

  • 1980年以来、産業におけるエネルギー原単位を60%削減しており、2006年から2010年の間にさらに20%削減を目指している。
  • 2006年以来、エネルギーを大量消費する企業トップ1,000社(その総エネルギー消費量は国内産業合計の47%、国全体の37%)に対し、製品のエネルギー効率改善と業務の省エネ化を義務付けている。
  • 国際的に最も包括的といわれる新製品用省エネ基準・ラベル表示制度を導入し、二酸化炭素(CO2)排出量を年間1,000万トンの削減している。
  • 太陽熱温水器では2006年の設備容量が世界シェアの6割を占め、さらに今後年間20%の拡大が見込まれている(表3参照)。

第3章「低炭素輸送」

  • 「国内消費される石油の47%が輸入されている」「2035年までに自動車台数は現在の3倍に相当する4億台以上に拡大」といった事実や予測を受け、政府や企業は、エネルギー安全保障確保のための燃料効率向上や再生可能エネルギー開発事業、輸送機関からのCO2排出抑制策に力を入れている。
  • 2004年の導入以来、乗用車用燃費基準は年々引き上げられ、2008年は1リットルあたり約15.6キロメートルと米国やオーストラリアよりも厳しい(表4参照)。
  • 「エンジン排気量4リットル以上は20%、同2リットル以下は5%以下」など、排気量に応じた自動車課税制度を導入して、小型車普及を促進している。
  • ガソリン車比燃費20%増の国産ハイブリッド自動車が15,000円(約240万円)と、日本車よりも低価格である(トヨタ・プリウス:輸入税25%込みで40,000ドル(約440万円))。
  • 「CO2排出量がガソリン自動車の10%」「安価」といった利点を持つ電気自転車の市場規模は年間60億ドルと世界最大級である。
  • 2005年のバイオ燃料生産量は世界第3位で、2010年までに年間総生産量を600万トン、2020年までに同1200万トンまで引き上げるという野心的な増産目標値を設定している。

第4章「低炭素事業への投資」

  • 2007年の再生可能エネルギー事業投資額は120億ドルで、ドイツに次いで世界第2位、国内総生産(GDP)における割合では同国とほぼ同等である。
  • 2007年に中国で実施されたクリーン開発メカニズム事業(CDM)事業で削減された総排出量は9億トンとCDM事業全体の73%で、世界最大のCDMホスト国である。
  • 再生可能エネルギー関連事業への融資優遇、中小企業による省エネ事業への融資拡大など、低炭素事業への投資を促す金融改革を実施している。

結論では、「中国には低炭素社会に向かわせる推進力となる5つの戦略がある」と分析している。それらは、(1)明確な政府のビジョンと強力な支援策、(2)国際需要を見込んだ低炭素産業の拡大方針、(3)国内消費者における低炭素志向の醸成方針、(4)低炭素事業における障壁撤廃努力、(5)低炭素企業による利益確保の容認方針。

一方、「現在見られるような再生可能エネルギー企業や低炭素企業の成長傾向が次の10年間も続き、2050年達成を目指して設定された様々な目標を実現できるか否かは不透明」と現実的な指摘もしている。さらに「中国でクリーン革命が進行中なのは明らかだが、将来の成長と安全保障を維持できるよう『世界的な低炭素経済の実現』という挑戦に立ち向かうためには、中国は国際社会と協力する必要がある」という提言で締めくくっている。

<表1>
太陽光発電システム生産量(国別、2002年~2007年)
<表2>
水力発電主要国(2006年)
<表3>
2006年における太陽熱温水器の設置容量で中国は首位(合計105ギガワット)
<表4>
新車乗用車の燃費 実績と予測(国別、2002年~2016年)
 
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