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日刊 温暖化新聞|温暖化REPORT

海外レポートサマリー:気候変動に対する人口動向の重要性 ポピュレーション・アクション・インターナショナル(2009年4月)How Do Recent Population Trends Matter to Climate Change? : Population Action INTERNATIONAL April 2009

著者: Leiwen Jiang, Karen Hardee
発行: ポピュレーション・アクション・インターナショナル(Population Action INTERNATIONAL)http://www.populationaction.org
発行日: 2009年4月
ページ数: 25ページ
入手先: PDFダウンロード
  • 本レポートは、気候変動問題であまり取り上げられることがなかった人口動向と気候変動との関係を分析するもの。世界の人口動向が炭素排出量や気候システム、世界の気候変動対策にどのような影響を及ぼすのかを考える。
  • ポピュレーション・アクション・インターナショナル(PAI: Population Action International)は、1965年に設立された米国のNPO団体。世界中のすべての人々が、性とリプロダクティブ・ヘルスの権利とアクセスをもつことで、人間性と自然環境のバランスを保ち、貧困生活者を減らす社会作りを目指す。リプロダクティブ・ヘルスと人口対策に関する研究・分析および、家族計画や性とリプロダクティブ・ヘルス/ライツに対する政治的・経済的支援を集める活動や、人口と家族計画、世界問題の関連性を大きく取り上げることで、世界的な政策提言を行う。

概要

本レポートでは、これまでに行われている数多くの研究や分析結果をもとに、1)人口推移が温室効果ガス排出にどのような変化をもたらし、どのように気候変動を引き起こすのか、2)予測される人口動向が、将来の気候変動への適応策にどう影響するのか、3)人口政策が、気候変動の緩和策・適応策にどのような効果をもたらすのかについて詳しい解説とともに、新たな分析も加えながら深く掘り下げていく。

温室効果ガス排出量増加の主要因としての人口動向
これまでの統計によると、人口増加の伸びと並行して経済が成長し、エネルギー消費量・温室効果ガス排出量ともに増加していることが明らかである。1800年から2000年の200年間でエネルギー消費量は35倍、炭素排出量は20倍、世界人口は6倍に増加。国内総生産(GDP)は70倍に増えた。また、数十年に及ぶ多国間の時系列データを利用し、変数(主に「経済成長」と「エネルギー効率と炭素集約度に関連する技術」)を調整すると、一般的に1%の人口増加に対し1%の炭素排出量増加が見られる。

本レポートでは、2000年に発表されたIPCC排出シナリオに関する特別報告書(SRES)が定めたシナリオに基づいて予想を立てた。SRESは、「人口増加」と「経済成長」、「技術革新」、「エネルギー消費パターンの変化」、「土地利用パターンの変化」の5項目を温室効果ガス排出量増加の主要因とし、経済、環境、国際性、地域性の度合いによって4つのシナリオを想定している。その結果、今後数十年間における人口増加と炭素排出量との間にはシナリオごとに複雑な関係が見られた。一方で、「人口増加」の度合いが高いほど、排出量も多くなるなど多くの場合は明確な関係も成り立っている。また、「人口増加」が同じでも、「経済成長」と「技術革新」の度合いが違うと、排出量にかなりの差が出る。少なくとも向こう数十年における炭素排出量変化の要因としては、「経済成長」と「技術革新」の方が「人口増加」よりも大きい。

人口構成が変化すると、温室効果ガス排出量も変化する。人口動態が将来の気候変動に及ぼす影響をより正確に把握するために、ますます多くの研究が行われているが、本レポートでは、仮説のコミュティをベースに地方と都市の人口の変化がもたらす一人当たりの温室効果ガス排出量を予測した。その結果、50年後に人口が倍増しても、地方と都市の人口比率が同じ場合、一人当たりの平均排出量は変わらないが、大規模な都市化現象が起きれば、平均排出量も増加することが分かった。

また、最近出された国連の人口推計の結果も取り上げ、開発途上国の大幅な人口増加や、都市化による都市人口の増加、先進国・途上国における高齢化について具体的な数字をあげる。さらに今後、先進国・途上国の主要国では規模が縮小する世帯数が増えるという。

世帯構成人員数が減少すると排出量にも影響する。例えば、1970年から1990年までの先進国におけるエネルギー消費量をみた研究によると、小家族の一人当たりのエネルギー消費量は大家族に比べてかなり高く、人口増加率が緩やかになっても、総エネルギー消費量は大幅に増加していることが明らかになっている。

また、中国と米国について、「高齢化」「都市化」「技術革新」「人口増加」などの要因をいくつか取り上げ、炭素排出量に及ぼす影響について新たに分析している。

予想される人口動向と、気候変異・変動の影響への適応策
世界は、気候変動に関する危険を回避するための手段を緩和策だけに頼ることはできない。これまでのIPCCの予測によると、すべてのシナリオにおいて地球の温室効果ガス排出量は少なくとも2020年までは増加し続けるという。

地球温暖化の影響が世界全体で高まっている中、人々に及ぶ気候変動の影響は地域によって大きく異なる。サイクロン、干ばつ、洪水、地滑りを対象とした気候関連の災害分布図(図1)では、世界中の一人当たりの危険度が一目瞭然でわかる。さらに、この4つの気候事象について、所得水準ごとにどの事象の影響を受けやすいのかも分析。低所得者層は、干ばつや、洪水、地滑りの影響を受けやすい傾向にあり、富裕層はサイクロンの影響を受けやすい傾向があるなど、興味深い結果を出している。

また、地球温暖化がもたらす5つの悪影響として、「熱波」「水ストレス」「海面上昇と異常気象」「農業生産の損失」「動物媒介感染症」を取り上げ、それぞれについて、温暖化と人口との関連性を探っている。

人口推計結果に応じた政策の実施
過去50年間に国連人口局が実施した人口推計の動きを分析すると、人口動向に目を向けた政策の効果がわかる。例えば、1970~80年代の世界人口推計見直しはすべて、実際の世界人口を大幅に上回ったが、これは1960年代の急速な人口増加を意識した家族計画やリプロダクティブ・ヘルス計画が奏功し、途上国での出生率が急激に減少したためだった。

しかしごく最近の世界人口調査では、ここ数十年における家族計画やリプロダクティブ・ヘルス計画への意識低下により、2000年から2005年までの人口規模が1990年代の国連の予測を大幅に上回ったことが分かっている(図2)。国連は中位推計を段階的に見直し、1998年版の89億人を2006年版では92億人に上方修正した。

1994年にカイロで開催された「国際人口開発会議(ICPD)」では、「家族計画」と「リプロダクティブ・ヘルス」が将来の人口動態、特に人口密度が既に高く、気候変動の悪影響を受けやすいか対処できない貧困層にとって、重要な意味があると発表された。この2つの人口対策は、特に開発が遅れている後発開発途上国を含む途上国がその人口抑制のスピードを早め、東アジアなどで見られるような急速な経済成長を後押しする可能性があるとしている。

人口増加の減速は、温室効果ガス排出量増加の速度を緩めることにつながる。また、各国にとっては、教育を促進し、技術を発展させ、急速な経済成長を果たし、気候変動への適応とミレニアム開発目標達成に向けてしなやかに対応する能力を高めるための時間稼ぎにもなる。

最後に、本レポートでは、2006年のスターン卿の指摘や、IPCCによる環境難民増加の予測などを踏まえ、幅広い緊急政策が必要だと指摘する。また、ミレニアム開発目標の達成を新たに約束することや、家族計画やリプロダクティブ・ヘルス、女子教育、経済機会、女性への権限付与に投資することが、後発開発途上国と途上国の人口抑制に役立ち、ひいては経済成長と気候変動に対する対処能力向上につながることも強調。人口動態は、気候変動への適応策を考える上で無視し続けるべきではなく、世界のニーズを満たすには効果的な対策が必要だとする。自発的な避妊の手段をミレニアム開発目標など幅広い取組みとつなげた人口政策や計画は、気候変動への緩和策・適応策に重要な役割を担う持続可能な人口動態をもたらす一助となるだろうと期待する。

<表1>
気候関連の危険地帯の世界分布図
<表2>
国連人口中位推計(1990〜)
 
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