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日刊 温暖化新聞|温暖化REPORT

海外レポートサマリー:クライメート・コンフィデンス・モニター2010:HSBCグループ(2010年10月26日)Climate Confidence Monitor 2010:the HSBC Group (26,October,2010)

発行: HSBCグループ
http://www.hsbc.co.jp/1/2/about-jp
発行日: 2010年10月26日
ページ数: 8ページ
入手先: http://www.hsbc.com/1/2/sustainability/ccm-2010
  • 本レポートは、2010年8月25日から9月10日にかけ、日本を含む世界15カ国の15,000人を対象に、気候変動に対する意識をオンライン調査した結果である。気候変動が経済発展のチャンスであることを踏まえ、気候変動に対する世界各国の人々の意識をクローズアップする。4回目となる今回の調査では、新興国が前向きな姿勢であること、企業の投資が求められていること、個人やNGOの率先した行動が重要視されていることなどが浮き彫りになった。
  • HSBCグループ:87の国と地域に拠点を擁し、顧客数は世界中で約1億という世界最大の金融グループの一つ。英国の経済学者、ニコラス・スターン卿はHSBCグループ会長特別顧問。

概要

気候変動による人や地球へのリスクが増加している中、クリーン・テクノロジーへの投資の奨励や、化石燃料価格への真のコスト反映、消費者の効率的なエネルギー利用、国内外の強力な政策などで、巨額の投資が動く可能性がある。このことが、新たな経済成長の原動力となると予想される。

現在、ある程度の気候変動が起こっていることと今後も起こり続けることは否定できない。洪水防止施設や灌漑設備の建設などといった対応策への投資、適切な保護手段を講じることが重要である。こうした革新には、金融セクターの後押しが欠かせない。実際、今回の調査では、「企業は、気候変動対策に対してより多くの資源を投資してほしい」という要望が消費者にあることが明らかになった。

企業による投資は既に始まっており、特に新興国では、2020年までに低炭素関連の革新への投資が全体の70%に上る可能性がある。革新的、創造的で生産性の高い「グリーン・レース(環境競争)」は始まっているといえる。

気候変動は過去3年間、人々の間で主な懸念事項の一つとして挙がるようになり、世界経済の安定やテロ、日常生活における暴力などと肩を並べている。2010年、新興国では気候変動が最大の関心事となり、そのように回答する人の割合は増加傾向にあるという。アジアは気候変動への関心が高く、その中でも最も高い国はベトナム(30%)、香港(25%)だった。一方、米国・英国・フランスでは10%にも満たなかった。ただし、この結果には、各国特有の要因が影響していることも考慮しなければならない。例えば、米国では経済への懸念が上位を占め、テロ攻撃から1年あまりしか経っていないインドではテロが重要問題となっている。日本では世界的な経済安定が首位となった。(図1)

全般的に、気候変動に対する懸念は新興国で大きく、先進国では小さい。「気候変動問題が最大の懸念事項の一つ」と回答した人の割合は、中国で57%、英国で16%、日本で23%、平均は38%だった。(図2)

気候変動問題の規模とその取組みに向けた政府の公約については、人々の間に悲観的な見方が広がっている。フランス、米国、英国など欧米の先進国は最も悲観的で、気候変動対策がなされていると回答した人は10%未満。一方、アジアは楽観的で、中国では58%、香港とマレーシアでは36%が「対策がとられている」と回答した。アジアにおける例外は日本で、そのように回答したのはわずか3%だった。

新興国では、懸念が大きいことが人々の積極的な行動につながっている。「多大な努力を払っている」と回答した人は中国で64%だったが、英国は23%、米国は20%だった。「気候変動に歯止めをかけられる」と回答した人も新興国と先進国との差が著しく、ベトナム、インド、中国では3人に1人、フランスと英国では20人に1人だった。

こうした差はあるものの、全般的に、人々には、「生活の質を低下させても、気候変動に対して実践的な行動をとろう」との気持ちがあることも明らかになった。

人々が最も重要視している行動は、リサイクル(26%)、冷暖房利用の抑制(24%)、家庭での省エネ(23%)だった。また、直接的な行動を起こす動機として最も多かったのは、お金の節約と気候変動対策が同時にできることだった。現在、実際に行っている行動で最多だったのは、リサイクル(78%)、冷暖房利用の抑制(74%)、省エネ目的の住宅改修(56%)で、その後に、車利用の抑制(51%)が続いた。

また、「気候変動に率先して取り組むべきなのは、個人とNGOである」との考えも明らかになった。36%が、「NGOが最も大きな役割を果たすべき」と回答。これまでの力強い実績をベースに、市民社会が実績を積み上げていくべきだとの考え方がうかがえる。さらに、34%が「一人一人の取組みが問題解決のカギを握っている」と考えていることも分かり、個人の行動への強いこだわりも明確になった。

「各国政府が適切な政策枠組みの導入を後押しする必要がある」という認識も広がっている。排出権取引、炭素税、その他の政府支援による二酸化炭素削減の取組みは、すべて政府がリーダーシップをとるべき重要な措置であると受け止められている。ここでも新興国と先進国で差があるものの、「政府が直接的な役割を果たす必要がある」との考え方は全世界的に受け入れられている。

「企業が投資を拡大する必要がある」と考える人々も大半にのぼった。こうした見方は、新興国よりも先進国で強く、フランスではほぼ4人に3人、ドイツでは3人に2人超にのぼる一方、ベトナムでは36%、インドでは42%にとどまった。

企業は、経済的利益を見出せればこうした投資に積極的になるだろう。気候変動をビジネスチャンスとする楽観的な見方はブラジルとインドで最も強く、大半の人が、そのような投資をすれば国が繁栄し雇用が創出されると予想している。悲観的な傾向が強い英国と米国でも1/3の人が「気候変動への対応は、経済的機会と雇用創出に結びつく」と考えている。

<図1>
図1
<図2>
図2
 
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